ナポレオンとジョセフィーヌ、ポンパドゥール夫
人からスーパーモデル…。彼らの共通点、思い浮
かびますか?美人?モテ女子?それとも女傑に英
雄?実は、彼女、彼らが愛してやまなかったのが、
シャンパーニュ最大のメゾン「モエ・エ・シャン
ドン」のシャンパンなのです。
「これに限っては飲んでも醜くなる心配がないの」
と、シャンパンを愛飲したのが、フランス宮廷文
化の全盛期、自らを太陽王と名乗ったルイ15世の
愛妾、あのポンパドゥール夫人です。なかなかの
小顔美人。23歳で宮廷に入ってから、容色がやや
厳しくなっても46歳で亡くなるまで、宮廷に君臨
し続けたそうですから、美貌だけではなくて、知
性もしっかり備えていたという話。あのエリゼ宮
はルイ15世からパリ用の彼女の住まいに与えられ
たそうですよ。
モエ・エ・シャンドンを飲みながら、哲学書を読
んだりして、都心にも別邸も買ってもらちゃった
りして…。もう鼻血が出そうにお金と権力と美貌
のうずまく、華やかな世界ではありませんか。時
には金色のモエ・エ・シャンドンの泡の向こうに、
頭を垂れたルイ15世が立っていたりして…。
なにしろ、ポンパドール夫人は、モエ・エ・
シャンドンの最初の親善大使です。1750年前後
のようですが、18世紀にポンパドール夫人、
今をときめく王の愛妾をキャンペーンガールに
したシャンパンとそのメゾン。それが今も私た
ちの目の前に存在し続けているんです…。
そしてあのナポレオンも…。ご存知でしたか?
アンペリアル「皇帝」という名は、当代の当主、
ジャン・ルイ・モエ氏とナポレオンの親交から
生まれたのです。1804年に自ら皇帝に即位した
ナポレオンは1807年にはじめて、ジャン・ルイ
・モエのドメーヌを訪れます。ナポレオンのシャ
ンパン愛好ぶりもこれまた有名。真偽のほどは
定かではないですが、実はシャンパンの風呂が
好きだったという逸話も。
その後もオーストリアのフランツ2世、ロシア
皇帝などなど、モエ・エ・シャンドンを愛好し
た時の権力者は枚挙にいとまがありません。
なにしろ、モエ・エ・シャンドン社、創業1743年、
265年の歴史を持つシャンパーニュ地方最大の
メゾンですから、オホホ、そりゃあやんごとなき
方々とは昔からおつきあいがありましてよ…。
そしていわずもがなのことですが、名声を支える
だけの品質もつねにともなっていた、ということ
です。金色の泡とともに味わう3種類のブドウの
完璧なバランス。華やかに立ちのぼる花の香り。
まあシャンパンのお風呂はちょっと…ですけれど、
言ってみたくないですか?
「私、お酒は弱いんだけど、この『モエ』とか
っていうシャンパン?だけは大丈夫なの…」
なんて、ややカマトトぶってみながら、心の中で
こっそり実は女傑のポンパドール夫人を思い浮か
べていたりして。うふふ。あるいは、ナポレオン
の雄姿をイメージしながら…。夏の夜。もう大人
になってしまった男子も女子も、このシャンパンで、
久しぶりに華やかな夢に思いっきり浸ってしまい
ましょうよ。